話を戻すと。
このミュージカル「十戒」は一度だけ日本公演が行われている。
2005年2月下旬から大阪で、続いてそのまま3月初旬に東京で、それぞれ12回ずつの公演だった。
私は大阪城ホールで、チケットを苦心して入手してくれた親友Jと共に観賞した。
ホールに向かうまでの大阪城公園は梅がまだ綺麗に咲いていて、風に舞う花びらを受けながらホールに向かったのを懐かしく思い出す。
この日、ステージを観ながら、「フランスのミュージカルはアメリカと違い、地味である」と教えてくれたミュージカル通の知人の言葉をふと思い出した。
確かにその通りだと心底思った。
ミュージカル十戒の日本公演を企画したのは関西テレビ放送で、チケット発売の前、公演の数カ月前から関西テレビでは、特別紹介番組まで作って連日かなり肝入りで宣伝していた。
『スペクタクル 十戒』と銘打ち、<至高のエンターテインメント>という売り文句であったから、どんな華々しい大仕掛けなステージなのだろうかと想像していたのだが、実際舞台を見てみると、そんなことはなくむしろびっくりするほどシンプルな印象で、これがアメリカ製だったら、海が割れるシーンなど、最高潮のテンションで演出するに違いないのにと思ったほどだ。
けれど、パンフレットの解説には「ミュージカル史上初めてともいえる巨大な美術セット、舞台転換の多様化とシーンの多角的変化、背景の映像を効果的に取り入れることによって視覚的に訴えるロケーション設定…エキセントリックなステージ・・・」とあり、確かにその通りで間違ってはいない。
地味でシンプルだと感じてしまったのはなぜなのだろう?
こういう全ての華やかな演出を凌駕し、抑制してしまう何かがあるのかもしれない。
それは何なのだろう?
ここで終わるのもなんなのですが・・・あまり長すぎてもいけませんから本日はここまでとして。
この続きは明日! また是非お付き合いくださいね。 |
その二へ続く
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